2008年12月3日水曜日

解放する福音」(ルカ福音書4:16-24)11月30日説教

  明治から昭和の時代を通じての日本の代表的な社会事業家に、留岡幸助、石井十次、山室軍平を挙げることができよう。彼らは組合教会の伝統形成者であり、何れも備中高梁教会に連なる人々である。
  留岡は備中高梁の人で、米屋の養子として育った。子供時代に士族の子との喧嘩で不当な扱いを受け、謂わば非行少年の気持ちを味わい、身分差の苦汁をなめた。宣教師ケリーと金森通倫の伝道に触れ、神の前の万人の平等の教えに心を動かされ、ついには洗礼を受け、同志社で学んだ。留岡は早くから社会問題を意識。日本の二大暗闇、即ち遊郭と監獄の改革の必要性に目覚めた。教誨師の働きを通じて多くの囚人の劣悪な成長環境を知り、非行少年からの教育を志向し、米国で勉強後家庭学校を設立。当時一般的だった感化院ではなく、キリスト教的家庭こそ非行少年を導くとの信念があった。主イエスの到来により、貧しい者への解放の実現がもたらされた。福音は社会の暗闇に光をもたらす実践を導く。神が全ての者の人格を尊重される故である。 棟方信彦牧師