最近、落語の寄席の入場者が増えているという。不景気で笑いが必要とされているのである。「信仰と笑い」には共通点がある。どちらにも、人間が前向きに生きていく知恵が含まれている。
百歳のアブラハムと九十歳のサラに男の子イサクが誕生する話には笑ってしまう。実際、17章では神から告知を受けたアブラハムが「ひそかに」笑い、18章では妻のサラが「ひそかに笑った」と書かれている。「そんなアホな」とクスクス笑いしているのである。この物語を生み出した「信仰の民」は「笑いの民」でもあったことが分かる。
このところ、熊本出身の姜尚中(カン・サンジュン)が書いた『悩む力』がベストセラーになっている。私たちは「悩む力」以上に、「笑う力」が必要である。 主イエスは、「思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか」と言って、「笑う力」を発揮することを求められた。私たちは信仰にしっかりと立つと同時に、笑いを絶やすことなく生活していくようでありたい。 山下慶親牧師