2010年1月4日月曜日

「救い主の誕生」 (ルカ福音書2:1-20)12月20日クリスマス礼拝説教

 ルカ福音書2章の降誕物語は、ローマ皇帝の支配があったことを告げている。3章ではイエスが「およそ30歳」になっているが、支配者たちの顔ぶれは変わっても、民衆の暮らしを圧迫する支配構造に変化はなかったことが分かる。
  降誕物語は神からの救い主が馬小屋で誕生したと書いている。作者は意図もなく、こんな書き方をしているのではない。なぜならば当時、ローマ皇帝を「救い主」「神の子」「主なる神」と呼ぶ皇帝崇拝が強制されていたのであり、ルカは皇帝と正反対の姿で来られた救い主の誕生を描いているからである。幼子が飼い葉桶で眠っている光景は、神がこの世を支配する暗闇を照らす新しい光を投じられたことを象徴的に示している。
  これまでの歴史にはさまざまな暗い時代があった。そのような時代に、クリスマスの訪れは人々に生きる希望と勇気を与えて来た。2009年末の現在、多くの日本人が時代の暗さを感じ取っている。暗闇の中で輝いている光のあることが多くの人に見出されることを願う。  山下慶親牧師