「身内の人に知らせなさい」山下慶親牧師
(マルコによる福音書5:1-20)
イエスと弟子たちの一行がゲラサ人の地方に着いた時、「悪霊に取りつかれた」男が墓場から現れた。男はイエスから名前を尋ねられ、「レギオン」と答える。レギオンとは6千人編成のローマ軍団である。それだけ多くの悪霊に取りつかれていると思うほど、大きな精神的苦しみを負っていたのである。彼はイエスによって悪霊が追い出されて正気になる。
この物語はイエスによる癒しの物語の1つである。この男の場合、イエスと「一緒に行きたい」と願い出る。しかしイエスはそれを認めず、家に帰って、自分に生じたことを「身内の人に」知らせるように言われた。その後、男は身内の範囲を超えて広くデカポリス地方に、自分の身に生じたことを伝えた。ここに伝道の原点がある。すなわちイエスによって自分の身に生じたことを語ることである。私たちには、自分しか語ることのできないイエスとの出会いがある。伝道は牧師だけがすることではない。イエスによって悪霊を追い出してもらった男の姿に学び、伝道の働きを担うようでありたい。山下慶親牧師