2010年1月4日月曜日

「命にまさるもの」 (詩編63:1-6; ヨハネ14:1-7)9月27日説教

長寿は人間の理想である。しかし、旧約聖書は長寿=幸福という考え方ではない。なぜならば、人生で「得るところは労苦と災い」(詩編90)に過ぎず、二千年の長寿を得ても、「幸福でなかったら、何になろう」(コヘレト6)とも述べているからである。
詩編63は神の「慈しみは命にもまさる恵み…命のある限り、あなたをたたえ(ます)」と歌う。この詩には「ダビデが荒れ野にいた時」という前書きが付されている。長寿であれば、それだけ多く人生の荒れ野を経験することになるが、同じ信仰的表明ができるようでありたい。
  イエスの生涯は幸福な長寿の対極であった。家庭生活で子や孫に恵まれたわけでなく、平安に命を全うされたのでもなく、非業の死を遂げられたからである。イエスは「わたしは命である」と言われた。その命は長寿とは質的に異なる「永遠の命」であり、私たちその命にあずかっている。長寿であれ、短命であれ、「命にもまさる」慈しみのもと、キリスト者としての生涯を全うしていきたい。 山下慶親牧師