2011年6月1日水曜日

(ルカ11:14-26)「神の国は来ている」3月20日礼拝説教

イエスが悪霊追放の業をされた時に起こった論争の場面。一見すると「悪霊」という私たちには分かりにくい、何か別世界の話しとして受け取り、出来事そのものを真剣に捉えにくい。しかしここで注目すべきは、「悪霊を追い出してもらった人」と「イエス」との関係である。この背景には、病気は不幸は皆、悪霊の仕業であり、さらに、そうなるのは、その人が何か罪を犯したからで、その罰として、そのように状態になる、という考えがある。結果、病気や不幸で苦しむ人々は、その苦しみに加えて「罪人」のレッテルを貼られ、二重苦を受けていた。

この現実の中で、イエスによる悪霊追放・癒しが成された。それは単なる病気の回復・身体機能の回復と言う事ではなく、人間の尊厳の回復であり、神との関係の回復なのだ。これこそ、この場面で注目しなければならない事なのである。

現代においても「悪霊」は様々な形で現れていると言える。巧みに働き、隣人を裁いてしまうこともあるし、聖書の時代と同じように、宗教的権威で隣人を排除・攻撃することもある。イエスはまさに、この受難を歩まれた。
私にも隣人にもある「人間の尊厳」「神のとの関係」をこそ第一として歩みたい。
難波信義牧師