2012年12月13日木曜日


「神の富と知恵」(ローマ11:33-36) 9月30日説教要旨

示された箇所は、パウロがローマの信徒に宛てた手紙の、そのごく一部であるが、流れを踏まえると、9章から長々と記される「神の壮大な人類救済の歴史」のまとめの言葉になっている。特にパウ
ロ自身は、もともとユダヤ教のエリート教育を受けていたので、聖書(旧約)には精通し、その知識を充分に用いて、「神の壮大な人類救済の歴史」を記しつつ、「その神が、異邦人であるあなた方(手紙の受取手であるローマ人)をも、救い、導いてくださるのだ」と言う。この「まとめ」の言葉であるこの箇所も、ほとんどはヨブ記を引用しながら記している。

信仰深く、こどもにも財産にも恵まれたヨブであったが、彼は一瞬にしてその全てを失い、自らもひどい皮膚病に悩まされる。しかしヨブは、神を呪う事はなく、むしろ深い信仰理解に生きた。あま
りの悲惨さに、集まった友人たちは、この不幸の原因探しをするが、そこで信仰理解を巡ってヨブと大激論になる。その記録が「ヨブ記」の大半を占める。

しかし、この結論こそが、この短い箇所・ここでパウロが記している事なのである。特に36節には、「すべてのものは、神から出て、神によって保たれ、神に向かっている」とある。本当に、私たちに
は計り知れないが、神の深い配慮の中で生かされているのである。
難波信義牧師